こんにちは!にっちです!
最近また暑くなって若干ばて気味です。
NETFLIXで「Untold: パレスの騒乱」を見ました。めっちゃおもろかった。
NETFLIXのドキュメンタリー作品ってかなり質が高くて、ほかにもいい作品たくさんありますよね。
ちなみに、私はニックスファンですがベン・ウォレスのジャージは今でも持ってます(笑)
すいません。好きなんです。実はレジー・ミラーも、、、
この記事を読むと
事件の起こった背景
事件の起こったデトロイトという街とブラックカルチャー
を知ることができて、作品を100倍深く楽しめるかと思います。
【概要】NETFLIX – Untold: パレスの騒乱
NBA好きなら知らない人はいないであろう「パレス騒乱」
簡単に説明すると2004年11月19日にデトロイトピストンズのホームコートである、ザ・パレス・オブ・オーバーンヒルズで行われた「デトロイト・ピストンズVSインディアナ・ペイサーズ」の試合で、プロアスリートのNBA選手と観客の間で起こってしまった乱闘事件。
選手は社会からのバッシングとリーグからの厳しい制裁が、度が過ぎていた観客にも告発や実刑が下りました。
「Untold: パレスの騒乱」 は当事者である選手たちが当時を振り返り話していくのですが、インディアナ・ペイサーズの選手がほとんどで、デトロイト・ピストンズ側からの発信は、ほぼ無しです。
当時はリアルタイムで視聴なんてできず、乱闘シーンを始めてみた時に感じたのは「2m以上あるNBA選手に喧嘩を売るかね普通。しかもロン・アーティストは気性が荒いで有名なのに」でした。
大好きな選手も出ていて、NBAファンなら楽しめるおすすめの作品なので、まだチェックしてない方は1時間程度の作品なので、ぜひ見てみてください。
そして、既に視聴済みの方でも楽しんでいただけるように感想を書いてみます。
前年優勝の古豪デトロイト・ピストンズ VS 悲願の初優勝を目指すペイサーズ
ピストンズと言えば、ハードなディフェンスと荒縄のように荒いプレーで80年代~90年代初頭にリーグを席巻し2度の優勝を果たした「バッドボーイズ」。パレス騒乱の前年も、ディフェンスを武器に優勝を果たし古豪復活を遂げています。
一方、ペイサーズと言えば「レジー・ミラー」。インディアナというアメリカでも1番と言っても過言ではないほど、バスケ人気の高い地域にありながら、優勝経験がなくレジー・ミラーが入団するまでは弱小でした。
ニックスもミラータイムに何度も、、、すいません。この記事とは関係ないので以下省略。
そんなミラーですが、選手の最晩年で、一番優勝に近かった年がこの年。
ミラー自身も、この年は優勝のチャンスを感じてたと語っています。
中心選手もジャーメイン・オニールに世代交代しており脇を固めるプレーヤーも、ロン・アーティスト、スティーブン・ジャクソン等々そろっていました。
しかし、パレス騒乱が起こってしまいスタメン選手が大幅に出場停止。残念ながらチーム本来の力は発揮できず、レジー・ミラーは引退してしまうのでした。
ここら辺のペイサーズの事情、真実、選手の気持ちはぜひ作品をご覧になってください。
このペイサーズの中心選手たちですが、ストリート出身感が出まくってます。
バーで仲間がおちょくられたら、俺がいったんねん的なアグレッシブ発言も出てます。
アウェイのペイサーズ側の選手からすると、万人単位のアルコールの入った怒れるホームの観客 VS ペイサーズ側はスタッフ含めてせいぜい30人?程度。暴力は許されることではないけれど、正当防衛とも取れます。
※警備員は少なく、事態を収拾できず、試合欠場していたスーツ姿のミラーに催涙スプレーかけようとするくらいの状態。
事件の事情を語る際に、選手たちが語っていたり、乱闘騒ぎのコートからロッカールームに引き上げてる時に発していた言葉が印象的でした。
俺や仲間の選手が攻撃された
引用元:NETFLIX – Untold: パレスの騒乱
仲間を見捨てない
選手の立場であの状態はそうなるわ~、と感じました。
デトロイトという街 ー モーターシティを支えた黒人労働者
1903年にフォードが自動車工場を作り、関連産業も興りアメリカで、世界で1番の自動車工業都市として栄えたデトロイト。モーターシティと呼ばれるようになりました。(ピストンズのシティエディションユニフォームにも印字されてますね)
工業都市として栄えて最盛期の1950年代は180万人都市(日本だと札幌市位)
第二次世界大戦中、アメリカでは民間車両の生産は禁止され、デトロイトでは戦後まで兵器や軍需品の生産が行われました。※B29なんかもデトロイトの車工場なんかで生産されています
日本とも繋がりがありますよね。
デトロイトの繁栄を支えたのは、安価な労働力。南部から仕事を求めて移住してきたアフリカ系アメリカ人労働者でした。この南部からの移住に合わせて、本場南部のJAZZやBLUESなどのブラックミュージックも入ってきます。
南部の農村部から仕事と良い生活を求め移住しますが、北部のデトロイトに来ても、白人と同じ仕事、同じ収入、同じ生活環境は得られず、差別や構造的な搾取に直面します。
人種差別とデトロイト
1948年に白人居住地から黒人を締め出すことが憲法違反とされ、デトロイト市街の黒人居住地は拡大。白人たちは郊外に脱出する「ホワイト・フライト」と言われる現象がおこり、人種と貧富の差による分断が起こります。
公民権法が制定されたが1964年、マルコムXが暗殺されたのが1965年、公民権運動を進めたキング牧師が暗殺されたのが1968年。デトロイト暴動が起きたのは1967年です。この事件により「ホワイト・フライト」は加速していきます。
デトロイト暴動については、実話をもとに作成された映画「デトロイト」がおすすめです。
デトロイト市警が低所得地域のバーを不当捜査したことへの反発から暴動がおこり、軍隊まで出動したこの暴動。若者たちでにぎわうアルジェ・モーテルで警察による度を過ぎた尋問が行われました。白人警官を演じた役者が耐えられないと漏らすほどの内容。これまで アルジェ・モーテルでの事件当時のことを語らなかった事件当事者からの協力を得ることができ、作られたこの映画。白人警官から暴行を受けた当事者の一人は現在でも活動を続けているザ・ドラマティックスのリードシンガーのラリー・リード。リードはこの映画のアドバイザーもしているそうです。
自動車産業の衰退、街の荒廃と治安の悪化
1970年ごろからは、安価な日本車、日本家電がシェアを奪い始め、アメリカの自動車産業は大きなダメージを受けます。
※日本の家電なんかの衰退とも似ていますね
企業は大量解雇、関連企業の倒産が相次ぎ、人口が流出。仕事がなくなり家賃が払えなくなった労働者たちがホームレスになり、空き家は治安の問題から売れず、人口も企業も減るので税収が減り行政サービスも悪化、悪循環が続きます。富裕層は郊外へ、貧困層は荒廃した市内に取り残されました。
この辺のイメージはエミネムの半自叙伝「8Mile」を見るとよくわかると思います。
「8Mile」が舞台にしているのは1995年のデトロイト。トレーラーハウスに母、妹と住んでおり、自動車工場で働きながら、リリックを書きまくっているエミネム。黒人と白人、貧困と中流を分ける8マイルロードを何とか乗り越えようと頑張る映画です。
治安は全米トップクラスで悪く、パレス騒動が起きた2004年はワースト2位の治安の悪さ。市内の人口の8割がアフリカ系アメリカ人。市の発表した悪い時の統計だと、市内の建物の1/3が廃墟または空き家、失業率18%、通報から警察が着くまでの平均時間58分、72%の子供はシングルマザー家庭、子供の6割が貧困、等日本に居ると想像が難しいレベルです。
これだけ生活環境が厳しければ、どんな人種の人が住んでいても、治安は悪くなりますよね。まして、裕福な層と貧困層との分断、人種差別まで絡んで、そこから抜け出す事は困難を極めます。
財政破綻からロボット産業都市へ
2013年に市は財政破綻を発表。負債総額は1兆8000億円!
その後、市の景気は様々な取り組みにより回復傾向。製造業の街らしく、全米最大のロボット産業都市になっているそうです。※PSの「Detroit: Become Human」というゲームがありますが、かなり街の歴史に触発受けてる気がします。やった事ないですが(笑)2038年、アンドロイドが人の仕事を奪い反アンドロイド感情が高まり〜、云々みたいな内容。
音楽の中心地
そんなデトロイトですが、良い時代も悪い時代も人々は音楽と共にあり、音楽の中心地とも言われてます。
古くは南部出身の労働者の気持ちをブルースにこめ、教会では力強いゴスペルが歌われ、ソウルミュージックの故郷となり、ロックからヒップホップまで多種多様な音楽をデトロイトは生み出しました。
アメリカ十大オーケストラのデトロイト交響楽団、テンプテーションズ、グラディス・ナイト、スティービー・ワンダー、ダイアナ・ロス、マービン・ゲイ、ジャクソン5めなどが所属していたレーベルのモータウンの生誕の地。モータウンレコードのモータウンは、モータータウン=デトロイトの意味から来ています。後のヒップホップアーティストに大きな影響を与えたPファンクのジョージ・クリントン、シンガーのアニタ・ベイカー、皆さんご存知の白人ラッパー、エミネムの出身地でもあります。
そういえば、映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」でも当時の様子が描かれていますが、「Fuck tha Police」をライブで歌ってNWAが逮捕されたのもデトロイトでしたね。
最後に大好きなデトロイト出身のアニタ・ベイカーのLIVEをどうぞ!
唯一無二の美声のシンガーです。
ちなみにバスケの神、マイケル・ジョーダンもアニタベイカーが好きらしく、「Giving You the Best That I Got」っていう有名な曲を歌いながらジェリー・スタックハウスにトラッシュトークを仕掛けていたらしいです(笑)本当はその曲張りたいのですが公式がなく、、、
気になった方は素敵な曲なので聞いてみてください。トラッシュトークっぽくはないですが
まとめ
栄枯盛衰あるデトロイトという街はアメリカの縮図なのかもしれません。
あのパレス騒動の観客達も仕事に、生活に色々な事を抱えながら、デトロイトという困難な地で生き抜いていたことをどうしても想像してしまいます。だからと言って許される訳ではないですが、、、
パレス騒乱が起こった、デトロイトという街の歴史や背景を知っているとより深く理解できるのではないでしょうか。
仕事や人付き合いでも背景を知っているのと知らないのでは大きな差があると思います。
少しでも皆さんの役に立っていれば幸いです。
ではでは、ピース!
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